言語の発音練習

 前ページからの続きです。

 案内された個室の位置はナースステーションのすぐ前の部屋。何か緊急の問題が起きた時、すぐに対応してもらえそうだなと思ったのですが、個室に入ってすぐに気が付いたのが、ナースステーションからの騒音。

  個室の入り口は結構しっかりした金属製の扉ですが、それでも通路を歩く人の足音とか会話、検査台の移動音が聞こえてきます。

 まあほとんどは病院につきものの音ですから、これらはまあ我慢できる範囲。困ったのが、昼間の間、ほぼ四六時中鳴り続ける断続的な「ピンコン」という人工音

 どうやら心電図や心音に直結している音のようで、その音で対象になっている患者さんの容態を確認しているみたい。

 車椅子を押してくれた看護師さんに、「この音は消えないんですか」と聞いてみると、「昼間は無理、夜間には音量も多少下がると思います」ということでした。

 実際夜の10時を過ぎると多少静かになりましたが、昼間の昼寝ではかなりうるさく感じられました。

 「まいったなあ」と思いながらも、とりあえず個室に落ち着き、私物を取り出し整理。この部屋でほぼ1週間過ごすことになるので、自分の好みに合わせて洗面用具やら着替えを配置。

 11時半ごろ「ようやく落ち着いたな。ちょっと昼寝でもするか」と思った頃、ドアにノック。「どうぞ」と答えると、20代半ばのチャーミングな女性が入室。

 「言語聴覚士の何とかです」と自己紹介。ろれつが回らないことを意識した時、発音のリハビリをお願いしてあったのですが、その担当者ということでした。

 それを聞いて、もしかしたら「パタカラ」の練習ですか?と尋ねると、「そうです。ご存じですか?」とちょっと驚いた様子。

 実はクモ膜下出血の手術をしたときも、やはり言語聴覚士さんのリハビリを経験していて、その方から「講音」のリハビリとして教えてもらったのが、いわゆる「パタカラ」の発声練習です。

 てなわけでこの女性から指導を受けたのは、先ずは舌の動きのチェックです。舌を出したり引っ込めたり。出した状態で上に上げたり下に下げたり。

 更に左右の動きや、唇をなぞるように舌先を回転させる等の動きをチェック。この時点では、舌が左側にほとんど動きませんでした。

 続いて実際の発声練習。「パパパパパ」「タタタタタ」「カカカカカ」「ラララララ」といった、基本的な音の発声練習。これらの音は、それぞれ舌の動きが肝心とのことです。

 私の場合は、「パ」は割とよいものの、特に舌の運動を必要とする「タ」と「カ」の発音がはっきりしない。「ラ」もはっきりしませんが、「タ」や「カ」程ではないということが分かりました。

 てなことを確認していたら12時になったようで、お昼が運ばれて来ました。この日のメニューはカレーうどん

 このカレーうどんを食べる様子も確認したいということで、言語聴覚士さんが見つめる中で、うどんを食べます。

 と言っても、普段食べるように数本の麺をするするとかき込んで食べるということはほとんど不可能なので、1本を半分に切って、少しずつ食べました。

 味は割と良かったので残念だったのですが、ともかく時間がかかります。その様子を確認して、「普通食は無理そうですね。ただそういう方のために調理形態をペースト状のものに変更できます」とのことだったので、その変更をお願いしました。

 てなお願いをして、うどんの方も7割がた食べたところでギブアップ。あとは残しました。ここで言語聴覚士さんも「食事の変更を伝えておきます」とのことで退出。

 しばらくすると食事も下げられ、「昼食後に飲んでください。栄養剤です」と言われた薬を服用。1時半ごろから、ちょっと落ち着いたので昼寝です。

 3時頃起きて点滴チューブを見たら、すでに薬剤の点滴は終了していて、そのためチューブ内の圧力が減ったためか、血液が逆流していてびっくり。

 慌てて看護師さんを呼びました。来てくれた看護師さんは、点滴用の薬剤を片付けてくれましたが、「もう一袋栄養剤の点滴が予定されています」との事で、点滴用の注射針は抜いてくれませんでした。

 ただ薬剤から伸びる長いチューブはなくなったので、また自由度が増しました。そのせいか、まだ回復途上のためか再び眠くなってきたので、またしても昼寝です。


「痛風」を発症


第3章 手術


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