患部の痛みと舌の動き

月9日(月)

 手術の傷跡ですが、切開した場所は左耳の下数cmから、下方に向かって10cmぐらい。一番下部が喉ぼとけの左上5cmぐらいの所まで。

 手術直後は麻酔の効き目もあってか、それほどの痛みはなかったものの、患部は大きく膨れている感じ。手で触ると痛みを感じるので、なるべく触れないようにしていました。

 ちなみにHCUから個室に戻って数日後医師が現れて「抜糸をします」と宣言。それまでは患部を大きなガーゼ等で覆っていたのですが、それを丁寧に取り去り患部を露出。

 「抜糸はどうするのかな?」と思っていたら、いきなりピンセットのようなものを取り出し、「ちょっとだけ我慢して」と言いながら、そのピンセットで糸を引き抜く作業。

 引き抜くとき、「ピリピリ」とした痛みを感じましたが、激痛というほどでもなく、確かに我慢できる範囲。とはいえこちらは麻酔なしでの抜糸を経験したこともないので、つい身構えてしまいます。

 数分後数mmの糸が数本抜かれ、無事抜糸が終了。上から再びガーゼがかぶせられました。

 患部の痛みですが、結局HCUから一般病棟に戻り、5日後ぐらいまで継続。ただ最初は38℃以上あった熱が、日数の経過とともに徐々に下がり、微熱程度になったころには痛みそのものはあまり感じられなくなりました。

 つまり「発熱は患部から生じていた」ということになりそうです。ただ傷跡の膨らみはなかなか引かない感じ。退院一ケ月後になっても、傷跡がはっきり分かります。

 幸いにも傷あとは左耳の下から喉にかけての部分なので、ある程度意識して見たり、上を向いたりしない限り、他人からは余り見えない感じです。 

 問題なのは、口中にたまった唾を飲み込むときの痛み。これは飲み込むための作業が舌や喉の筋肉の運動を要するため、手術直後は「飲むぞ」と意識して、痛みは我慢だ」と言い聞かせながら飲み込まざるを得ませんでした。

 一か月後には、その痛みもかなり軽減しましたが、やはり唾をのむとき、水を飲むとき、食べ物を食べる時に常に感じ、更に痛みと共に誤嚥の可能性もあって、二か月後の今は「痛みはほとんど感じないものの、飲むとき食べる時の誤嚥を意識」しています。

 実際食べ物を食べるときは、痛みと共に「舌の動き」も必要なのですが、手術直後は「舌が左方にほとんど動かない」という体験をしました。

 これを感じたのは、手術後HCUで最初の食事を食べようとしたとき。食べ物を飲み込むときに患部の痛みを感じたのはもちろんですが、舌が満足に動かないため、口中に放り込んだ食べ物を舌で移動させることが出来ないことに気が付き愕然。

 要するに食べ物が口中で同じ場所にとどまっているため、いくら歯を動かしても、食べ物の同じ部分しか噛むことが出来ません。そこで何とか食べ物を舌で違う場所に移動して噛むわけですが、頬の内側のほおの筋肉と歯茎の間に食べ物がどんどんたまっていきます。

 以前ならそれらを舌でかきだして再び咀嚼ということになるわけですが、「それができない」ということに気が付き、一時は「これじゃあまともな食事が出来ないし、美味しいものを食べても感動を味わえない」とかなり落ち込みました。

 さらに舌の運動機能が落ちると、服薬するための多数の錠剤を飲み込むのも辛いということが分かり、その状態は二か月後の今も継続。舌の動きは少しずつ良くなっていて、食事はなんとか摂れていますが、いまだに食後の服薬は1錠ずつじゃないと不安な状況が続いています。

 原因ですが、体験記に書いた通り、手術時に術野を拡げるために、頬の筋肉を無理やり引っ張った牽引にあるとのことで、その際付近にある神経が若干影響を受けた可能性があるとのことでした。

 手術そのもは成功して良かったなと思ったのですが、結局舌の動きが一時的に悪くなり、その影響は「呂律が回りにくい」という言語の症状にも表れています。


左目の視野のにじみ


第4章 手術後


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