一般病棟の個室へ

6月12日(土)

 6時に起きて、しばらくすると検温。37.6℃でした。やはり首を切った直後ですからある程度熱が出るのはやむを得ないのかも。

 ただ気分的に悪寒とか「発熱している」という感覚はほとんどなしです。血圧も少し高かったのかもしれませんが、メモしていません。

 少しゆっくり寝ることが出来て、歩き回ることもかなり楽になりましたが、ちょっとショックだったのが舌の動きが手術前に比べてかなり悪くなったこと。

 これは当初よりは良くなったものの、手術から一か月が経過した今も続いています。

 ちなみに舌の動きが悪くなったことによる主な弊害は二点。一つが食事がしにくいこと。普段は食べる時舌の動きなんてのはほどんど意識しません。

 しかし、口の中に食べ物があると、それを舌を使って右や左に動かして歯で噛んでいるんですね。舌の動きが悪くなるまで、そんなことは考えたこともなかったです。

 結果的に、口の中に食べ物を入れても、それを口の中で左右に動かすことが出来ず、食べ物は口の中に入れた場所にとどまり、左右の歯で細かく噛み砕けない感じ。

 また右ほおや左ほおの内側に食物が入ると、そこから舌を使って食物を移動させられません。結果的に食べたものが口の中のあちこちに散乱する感じ。

 また細分化されない食べ物を飲み込もうとするときも、旨く胃袋に流し込めない感じ。結果的に「誤嚥性肺炎」になる可能性があるなと思ったので、1回に口に入れる量を減らしました。

 料理番組でよく言う、小匙一杯分ぐらいの量しか口に入れることが出来ません。

 その結果食事時間も長くなり、「これでもう旨い料理を口一杯に頬張ってバクバク食べることが出来なくなったのか」とかなり落胆しました。

 二つ目の弊害が「呂律が回りにくくなったこと」。呂律については、クモ膜下出血を経験した後に、後遺症の一つとして感じるようになりました。

 これはたぶんクモ膜下出血時に小脳の機能を損傷し、舌の運動機能に影響を与えたのではと思っています。

 しかし今回の呂律の回りにくさは、その時とは程度が違います。早い話、舌の動きが物理的に動かない感じです。

 ちなみに主治医の回診時にそのことを訴えると、「舌を出してください」「上に持ち上げてください」「下に下げて」続いて「左に」そして「右に」と言われ、言われたとおりに動かすと、「確かに左への動きが悪いですね」と言います。

 また回診に同行していた医師の一人が「牽引のせいでは」と言うと、「うん、それに間違いなさそうだ」と言います。

 「ケンイン?てなんだ?」と不思議そうな顔をしていると、「牽引というのは手術時に血管を露出させるため一時的に筋肉を引っ張る必要があります」との説明で、ようやく牽引の意味を納得。

 また別の医師が「牽引している時、一部の神経が見えていました」ということで、「もしかしたらその時に神経の一部に傷がついたのかも」と言います。

 ただそれらの影響は「時が立てば治ります」ということで、とりあえずその場は納得です。

 9時ごろ看護師さんがやってきて、「一般病棟への移動が許可になりました。忙しいのですが10時半ごろ移動します」と明るい声で教えてくれました。

 小用のために何度もトイレに移動する様子を看護師さんが見ていて、「もう大丈夫」と判断されたのかもしれません。

 ちなみに私のすぐ隣と向かいのベッドにいた人もすでに移動済み。10時半、ほぼ定刻に車椅子を押してきた看護師さんに促され車椅子に移乗。

 その時初めてHCU全体の部屋の様子を見ることが出来たのですが、私がいたのは部屋の一番奥で、それよりも入り口に近い場所のベッドに、まだ5〜6名の患者さんがいることが分かりました。

 そんな様子を眺めながら車椅子を押してもらい新しい病室へ移動。今回の病室はナースステーションのすぐ前の個室です。


言語の発音練習


第3章 手術


トップページへ